わんちゃんからのご教授

ゲンの言ノ葉

「大切にしてもらうんだぞ。幸せになるんだぞ」

 先日、犬を引き取り、お寺にワンちゃんを迎えました。その時に、犬に向かって声をかけたブリーダーさん。その言葉から、一匹一匹に愛情を込め、育てていたことを感じ、温かい気持ちになりました。

 かつて光隆寺には、柴犬がいました。今回も同じように柴犬を迎えました。その名はラゴラ。お釈迦さまの息子様で、その後お釈迦さまの弟子入りも果たした方の名前。恐れ多いですが、日々愛情を込めて育てています。

愛犬ラゴラ
愛犬ラゴラ

よろしくだワン!!環境が変わって、落ち着かないワン。。。

 ラゴラと日々を過ごす中で色々と感じることがあります。まだ生後2ヶ月で、お互いに思い通りにいきません。

 主に室内で暮らしているため、トイレ、夜泣き…しつけをしなければなりませんが、うまくいきません。どこでもトイレをしてしまったり、思わぬ時間で吠えたり、色んなところをかじったり。挙げればキリがありません。

 私自身、ワンちゃんも大好きですし、はじめは大きな心で迎えたつもりでした。が、思い通りにならないことが増えるにつれ、こちらのイライラも募ってしまいます。押さえつけたり、首輪を引っ張って教えたりと厳しく接しても、ラゴラには中々わかってもらえない日々。

 どうして良いかわからなくなり、ブリーダーさんに相談し、今日までの日々を赤裸々に伝えました。

「人も不安であれば、ワンちゃんはもっと不安です。ワンちゃんは、言葉も話せなければ、手足を人のように使うこともできません」

「また、辛いことがあっても、あなたには周りに頼れる人がいますが、わんちゃんにはあなたしかいません」

「焦る必要はありません。愛情いっぱいに、育んであげれば、言葉は話せなくても必ず伝わります」

厳しい返答が、忘れかけていた大切なものを想起させてくれました。

自分本位に陥り、周りが見えなくなっていた私。思い通りにしようと必死で、ラゴラの気持ちを考えることを忘れていました。

「煩悩に眼(まなこ)障(さえ)られて」という言葉を用いて、人間の姿を表している親鸞聖人の書物があります。

色んなものが見えなくなる闇の中にいる時、つい周りのせいにしていまいますが、その闇を作り出しているのは自分自身なのです。わかっていても、人生の中で何度も何度も繰り返してしまいます。

そのようなあり方を自省していきながら、”自分”ではなく”相手”にとってどうなのかをしっかりと考えることで、人として大切な何かを忘れずに生きていくことができます。

今回、ラゴラに大切なことを教えていただきました。ブリーダーさんの思い、ラゴラの思い…

自分以外の思いに、少しでも目を向けられる時間を。

ようこそのお参りでございました。

合掌

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